福岡高等裁判所宮崎支部 昭和27年(う)750号 判決
先ず職権を以つて本件起訴状について調査すると起訴状には少年である被告人に対する鹿児島家庭裁判所の送致決定が添付してあり該決定にはその罪となるべき事実として本件公訴事実に相当する事実の外同人の詐欺事犯に関する事実をも認定してあることが認められる。およそ刑事訴訟法第二百五十六条第六項において起訴状には裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他のものを添付し又はその内容を引用してはならないと規定した趣旨は裁判官をして虚心淡懐いわゆる白紙の状態を以つて審理に臨ましめ審判につき公平を保たせるにあると解すべきところ、前掲のような公訴事実と内容の異にする被告人の別個の犯罪事実を認定した送致決定を起訴状に添付するときは事件の審理に先だち裁判官をして被告人の悪性を推測せしめ、ひいては、公訴事実に関しても被告人に不利益な予断を生ぜしめる虞があるものと考えられるのであり同条は起訴の方式に関する効力的規定と考えられるのでその方式は厳重に履践しなければならない。従つて本件公訴はその手続が規定に反し無効というべく本件公訴を適法のものとして受理審判した原判決は訴訟手続に法令の違反がありその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから弁護人の控訴趣意に対する判断を省略しこれを破棄せざるを得ない。
(後略)